Google流 マネジャーの打ち手|『マネジャーの最優先事項』著者陣による実践ブログ

部下へのフィードバックの伝え方——Feedback is a gift と SBI

作成者: 水野ジュンイチロ|2026年7月26日

フィードバックが大事なのは、分かっている。けれど、いざ伝えようとすると「あなたはいつも準備が甘い」のような、主観的な決めつけになってしまう。相手は防御的になり、こちらも言いづらくなって、結局あたりさわりのない一言でお茶を濁す——。部下の成長を願うマネジャーほど、この難しさに突き当たります。

書籍『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』は、フィードバックを「評価のための指摘」ではなく、成長のための贈り物として扱います。

Googleでは「Feedback is a gift(フィードバックは贈り物)」という言葉が浸透しており……

四半期に一度の面談を待つのではなく、気づいたときにすぐ与え、すぐ求める。プロジェクトの後、プレゼンの後——節目ごとに、同僚どうしでも自然に交わす。フィードバックは、人事評価の道具ではなく、日常のコミュニケーションなのです。

言い換えれば、フィードバックは特別なイベントではなく、チームの日常に埋め込む習慣だということです。頻度が上がるほど一回あたりの重みは軽くなり、伝えるほうも受け取るほうも身構えずにすむようになります。

「感想」で終わらせない——SBIで伝える

フィードバックは一見シンプルですが、雑にやると根拠のない「感想」になります。決めつけを避けるために書籍が紹介するのが、SBIフィードバックです。

「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の順に3つの要素を整理して伝える。

たとえば「昨日のチームミーティングで(状況)、あなたが課題を率直に指摘したことで(行動)、全員の問題意識が高まり議論が深まった(影響)」というように、主観的なレッテルではなく、客観的な事実と、それが生んだ影響にフォーカスする。人ではなく行動を語るから、相手は身構えずに受け取れます。

受け手のハードルを下げる「2×2」

もう一つ、日々の1on1で使いやすいのが2×2フィードバックです。「自己評価/他者評価」×「できたこと/改善すべきこと」の4つの視点で振り返る枠組みで、まず本人に自分の振り返りを言葉にしてもらう。先に自己評価を語ってもらうことで、指摘を受ける心理的なハードルが下がります。

そしてもう一つの鍵が、コーチャビリティ——フィードバックを受け入れる力です。書籍は、これが人の伸びしろと強く結びつくと考えます。成長する人ほど、失敗を繰り返しながらもフィードバックを前向きに受け止め、次の行動を変えていくのです。

フィードバックの前に「成功の定義」を握る

そもそもフィードバックは、期待値が共有されていて初めて成立します。書籍は、仕事を任せるときに「どうなったら成功か」という成功の定義を、上司と部下で事前に握ることを勧めます。単なる作業リストではなく、「いつまでに、何を、どのように」を具体化し、数値目標だけでなく行動や姿勢まで言葉にしておく。ゴールが曖昧なままでは、あとからのフィードバックも「言った・言わない」の水掛け論になってしまいます。

もう一つ意識したいのが、人事評価とフィードバックを混同しないことです。書籍は、過去を測って処遇を決める「人事評価」と、未来をつくって成長を支える「パフォーマンス・マネジメント」を明確に分けます。日々のフィードバックは後者——査定のためではなく、次の一歩のためにある、という前提を共有しておくだけで、伝わり方は大きく変わります。

「これでいいですか?」に、頷かない

著者・水野ジュンイチロがnoteで公開している連載漫画に、フィードバックの場面が描かれています。ミスをした部下が「これでいいですか?」と幕引きを図ろうとしたとき、主人公は頷きません。「同じミスが起こらない保証はどこにある?」「どうやって成長してもらおう?」と、成長に向けて踏みとどまるのです。

連載漫画『ハジメ課長』第6話「Google流!部下を爆走成長させるメソッド」より。noteで全編を読む

厳しいフィードバックは、嫌われたくない気持ちとぶつかります。それでも、行動と影響を具体的に言葉にし、相手が自分で振り返れる問いを添えれば、指摘は攻撃ではなく贈り物になる。まずは次の1on1で、一つの出来事をSBIで伝えてみてください。フィードバックは、一度きりで終わらせず、記録し、伴走し続けることで定着していきます。

『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)