Google流 マネジャーの打ち手|『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』著者陣ブログ

マネジャーになる4つのメリット——「なりたくない」への処方箋

作成者: 水野ジュンイチロ|2026年8月20日

「管理職にはなりたくない」——近年、そう口にする人が増えています。責任は重く、仕事量は増え、自分の専門を磨く時間は減る。昇進の打診を前に身構える人も、候補者にどう意味を伝えるか悩む人事も少なくありません。書籍『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』は、この気持ちを受け止めたうえで、こう応じます。

それでも、マネジャーになることには大きなメリットがあります。

「なりたくない」の正体

マネジャーにネガティブな印象がつきまとうのは、多くの場合「責任の重さ」と「仕事量の多さ」が理由です。専門性を発揮する時間が減り、会議やデスクワークに追われるイメージもあります。これらは事実の一面であり、否定する必要はありません。大事なのは、その負の側面と引き換えに得られるものを、正しく知ることです。

マネジャーになる4つのメリット

書籍は、マネジャーになる価値を4つに整理します。

  • 1. チームで成果を上げる喜び——監督・コーチ・選手が一つの勝利に力を合わせるように、個人では届かない成果を、チームで手にできる。
  • 2. 他者の成長に関わる経験——人を導き、支える。この「普遍的に役立つ能力」は、どんな場面でも通用します。
  • 3. 多様なビジネススキル——戦略的思考、コーチング、ファシリテーション、データ分析、営業力、プレゼン力——マネジメントは、いわば「総合格闘技」です。
  • 4. キャリアと報酬——「人の面倒を見る力」は市場価値が高く、役職手当を含め、報酬水準も一般社員より明確に高くなります。

もっとも、書籍はこうも釘を刺します。マネジャーは目的を共有する集団の中の「一つの役割」にすぎず、過剰に犠牲を払う必要はない。だからこそ、その役割を思いきり楽しんでほしい、と。

続けるほどに分かる「3つのやりがい」

実際にマネジャーを続けると、やりがいは3つに集約されると書籍は言います。チームとの一体感、一人では届かないゴールを達成する喜び、そして自分自身の人間的成長です。とくに3つ目は見落とされがちですが、人を率いる経験は、自分を大きく育てます。著者自身、中途入社直後に厳しいフィードバックを受け、半年かけて立て直した経験を、成長の糧として振り返っています。人を率いる過程で味わう葛藤や失敗こそが、プレイヤーのままでは決して得られない成長をもたらすのです。

人事が「意味」を伝えるには

候補者にマネジャーを打診するとき、責任や負荷ばかりが前に出ると、二の足を踏まれます。伝えたいのは、この4つのメリットと3つのやりがい——とりわけ「他者の成長に関わる経験」と「自分自身が育つ機会」です。役職手当のような条件面だけでなく、「人を育て、チームで大きな成果を出す経験は、その後のキャリアでどこでも通用する」という長期の価値を、具体的な言葉で伝える。そして、過剰な犠牲を求めるものではなく、楽しめる役割なのだと示すことが、前向きな一歩を後押しします。

マネジャーは「地位」ではなく「役割」

誤解を解いておきたいのは、マネジャーは偉さを示す「地位」ではない、ということです。

マネジャーという役割は、部下がいて初めて成立する仕事である。

親が子の誕生で初めて「親」になるように、マネジャーも部下がいて初めて意味を持つ。進捗管理や成果の誇示だけなら、いずれテクノロジーに置き換えられます。人を支え、ビジネスと人の成長を促す——その役割にこそ、代えのきかない価値があります。

「いいマネジャーになりたい」の原点

著者・水野ジュンイチロがnoteで公開している連載漫画にも、この葛藤が描かれています。思うように人が動かず、「いいマネジャーになりたいと思ったのに、その『いい』が分からなくなった」と揺れる主人公の姿です。

連載漫画『ハジメ課長』第1話「Googleが考えるリーダーの資質とは?」より。noteで全編を読む

「なりたくない」も「うまくいかない」も、真剣に向き合っている証です。マネジャーという役割には、その苦労を上回る喜びと成長が待っています。まずはその全体像を知ることが、一歩を踏み出す助けになります。

『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)